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- 修士卒で企業に入ってから、博士を取りたいけど、実際にはどうなの?
- 社会人で博士と取るのは、どのくらいしんどいの?
そんなことを思っている方のための記事です。
この記事では、
- 企業の研究職として3年以上の経験を積み
- 大学に派遣されて博士号を取得し
- 企業に戻って研究職として仕事をしている私が
社会人になってから博士号を取得する上でしんどいと感じた経験を、私の実体験に基づいて赤裸々に解説します。
この記事を読めば、
- 社会人になってから博士を目指す上で注意すべき点が理解でき
- 博士取得を目指す前のモチベーションや
- 研究職でのキャリア戦略
に役立つようになりますよ。
社会人で博士号を取るのがしんどいと思ったポイント
会社に戻ってから博士号が活かせるか分からない
通常、会社から博士取得を勧められる場合は、こんな研究をして、こういう技術を身につけてきてほしい、という要請がある場合が普通です。
例えば、私の場合でも
論文を〇報出したら、学位(博士号)が取れるんだからいいでしょ
例えば、私の場合でも2年間わざわざ大学に行って、大学の研究の仕事をしていましたが、会社に戻ってきた時に、会社の方針が変わってしまいました。
結果的には
- 重点的に取り組む研究、領域が変わった
- 今まで取り組んでいた研究、領域がペンディングになった
といったことで、大学で研究していた内容が活かしきれない状況になりました。
2年、3年と時間がたてば、会社の方向性も変わってしまうものです。
2年間ですが大学での仕事内容、身につけた技術が会社に戻ってから活かせないのは
2年間何のために大学に行っていたのだろう
と思ってしまいます。
会社に戻ってから出世できるとは限らない
私の会社でもそうだったのですが(後から分かったことです)、出世させたい部下に博士取得を勧めているわけではない、ということ。
会社にもよりますが、研究職の出世の要件に博士号を持っているかどうか、は入っていません。
すなわち、博士号を持っているからこいつを出世させよう、というわけではないです。
実際に私の会社でも、博士卒で研究職に配属された人が、研究とは違う仕事(総務や知的財産など)に数年後に異動、というケースはよくありました。
逆に、修士卒でもずっと研究職で仕事を続けていて、早く出世するという人も。
これは、日本に特有の?現象みたいですが、1つの研究領域を極めた貴重な博士卒人財が、全く経験のない部署に配属、異動させられたりするようです。
博士(学位)って何のメリットがあるの?と思ってしまうくらい。
- 博士を取得しようと論文書いたり、大学で研究したりしている間に
- 博士取得に興味ない同期は「与えられた」会社の仕事で成果を出し、どんどん出世していく
という理不尽なことも起こります。
休みが取りにくい
博士号を取るために大学に行って仕事(研究)をしているわけなので、当然ながら必死になって実験してデータを取って論文を投稿することにまい進する必要があります。
- 実験も一度始めると連続してデータを取ったり、解析したりする必要があったりして
- 一度始めた実験を中途半端にやめると今までの実験データが無駄になってしまうし
実験の予定がある時は休みを取るのが難しいのです。
私も日曜日、祝日のみが休みで、土曜日は大学で仕事をしていました。
休みがとりにくい分、自分が自由に使える時間や家族、友人などと過ごす時間が減りました。
家族の理解が得られないと、家事、育児を協力してやっている家庭では、周囲の不満がたまってくることもあるので注意が必要です。
お金がかかる
大学で博士を取るには、
- 博士論文の作成・印刷
- 学術論文の投稿・準備
- 博士学位申請
- 必要に応じて大学に支払う費用
などがかかります。
会社から補助があることもないので、全て自己負担です。
会社から十分な手当てなどもらっている方はその手当分で学位申請に必要な費用を賄うことができるかもしれませんが、手当などない場合は全て自腹になってしまい、想定外の出費になりかねます。
金銭的な出費を取り戻すために何が必要かは、こちらの記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
きつい?メリットある?社会人ドクターを取るために必要な対策3選
しんどいと思った時に乗り切るためにどうするか
博士をとった後のイメージをしっかり持つ
社会人ドクターは博士を取るまでに、
- 実験して膨大なデータを取って
- 学術論文を書いて投稿して
- なんなら学会などで発表して
- 博士論文としてまとめて大学に提出する
といったことで、苦労が大きいです。
しかし、博士取得によってどれほどの価値、メリットが自分にあるか、明確にわからないことがあります。
私自身「博士を取りたい」という熱意がメインででスタートした社会人博士ですが、その途中
で、
- これだけ苦労する価値はあるのか。
- これだけプライベートを犠牲にしてなんの意味があるのか。
- 論文投稿できず、博士が取れなくても仕方がないかな
と悩んだことがあります。
これは、博士を取得することで
- どのような価値があるのか
- 研究人生にどんなメリットがあるのか
ということを具体的にイメージできていなかったことが原因です。
- 社会人で会社で研究の仕事を続けていきたい
- そのためには博士をとっておいた方が自分のためになる
という強い意志が必要です。
「博士を取得する」というのも一つの自己投資です。
博士を取得した後に自己投資の分をしっかり回収できるようにした方がよいですね。
自己投資を回収するために必要なことは、こちらの記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
会社に戻ってからどんな研究をするか、大学に通っている間に具体的に考えておく
博士を取りたい、という目的以外にも大事なのは、博士を取って会社に戻ってからどんな研究をしたいのか、ということ。
- 会社としては、博士を取ること自体に会社にメリットがなく
- 博士を取った人物がより高いレベルで研究をしていってほしい
という趣旨で、博士取得を勧めているはずです。
ですので、博士を取ることは通過点であり、博士を取ること自体が目的ではなく、真の目的は「博士を取ってからどんなことをしたいか」になるはずです。
したがって、会社に戻るまでに、どんなことをしたいか、しかも具体的な研究プラン、研究課題、テーマを作っておくとよいでしょう。
まとめ:社会人博士はしんどいけど、取った後のことを考えておこう
社会人で博士を取得する時は
- 会社の方針が変わり、会社に戻ってから博士号が活かせるか分からなかったり
- 会社で出世できるとは限らなかったり
- 休みが取りにくくなり、家族との時間、自由な時間が減ったり
- お金がかかる
といった、メンタル面でしんどい部分があります。
私の経験から、
- 博士をとった後のイメージをしっかり持つ
- 会社に戻ってからどんな研究をするか、大学に通っている間に具体的に考えておく
ことで、しんどいと思った時にも乗り切ることができるようになります。
社会人になってから博士を取るには色々と大変な部分もありますが、博士取得後のビジョンを明確に持っておけば、大変な時でも乗り越えていけるモチベーションになりますよ。
社会人で博士取得を目指すにあたり、休みが少なくなった時のリフレッシュ方法や時間の使い方についてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひご覧になってください。